いきなりですが、Nちゃんお誕生日おめでとう!!
去る12月3日はNちゃんのお誕生日。スペインからイタリア、エジプトへ飛び、数日後にはアフリカ横断へと出発する彼女にものすごく今さらな体験記を贈ります。多分、もういらないと思います。ご、ごめんなあ〜!
さて、お盆あけのくそ忙しい時期に、仕事先の皆様に生暖かい目で見送られながらスペイン旅行を決行した理由。それは世界でも稀に見るクレイジーイベント「La Tomatina〜ラ・トマティーナ〜」に参加するためでした。
祭り開催後には、ニュースの小話でよく取り上げられるのでご存知の方も多いかと思います。ラ・トマティーナ…邦名トマト投げ祭りとは、スペイン・バレンシア地方の「ブニョール」という田舎町に集まった人々が約150トンものトマトをただ投げ合うだけという他の追随を許さない突き抜けたアホっぷりが光る(誉めてます)一大イベント。
祭りの内容にふさわしく、祭りの起源も行き当たりばったりで実に素敵。
説その1/広場を歩いていた楽器弾きの男の演奏があまりに下手なので観客の1人がトマトを投げつけたのが始まり。
いじめじゃん!
説その2/祭りのパレード中に1人の男が転んでしまい、周りにいた人々ともみ合いのケンカに発展。そのとき、たまたま近くにあったトマトを相手に投げつけた。翌年の同じ日に、同じメンバーがトマトを持参して投げつけあったのが始まり。
お前らアホだろ!
祭りというのは多かれ少なかれ宗教的示唆や歴史的事件の教訓が根底に絡んでいるものですが、ラ・トマティーナのこの思いきった底の浅さはどうですか。もう大好きですこういうの。
まあ、そんな祭りの紀行文を3ケ月後に書いてる私もクレイジーさでは負けてないと思うんですが、そのあたりをつっこむと逆切れされたり不意に涙ぐまれたり何一ついいことないのでお勧めしません。
初めてトマト投げ祭りをテレビで知った子どもの頃から、一度は参加してみたいと憧れていた私。どんな子どもだったか容易に想像がつきますね。
そういえば、仲のよいお仕事仲間たちは、多大な迷惑を被ることが分かっていても「ト、トマト投げ…!!(羨望のまなざし)だったら仕方ないね」と納得してくれました。彼らの子ども時代も容易に想像できます。
トマト投げ祭りの開催日は毎年8月最終週の水曜日。今年は8月27日でした。Nちゃんが立ててくれた予定では26日夕方まではバルセロナで過ごし、それから鉄道でバレンシアへ移動して1泊、そして27日にいざブニョールへ!というスケジュール。なので25日の夜はかなりのんびりとしておりました。
県外で同郷人と出会うと初対面であっても親近感が湧くのと同じで、海外で同じ日本人…しかも個人旅行者同士だとなんとなく嬉しくなり、会話が弾むもの。バルセロナの日本人宿チキートの交流ルームで、泊まり客の学生くん達と仲良く歓談。
Nちゃんは長期の海外生活で感覚が非常にオープンになっています。日本人は一般に閉塞的と言われる民族。フレンドリーに話せない、心を開くべきところで開かない(そして開いちゃダメなところで開く)とよく揶揄されたりしますが、Nちゃんはそのあたりがとてもワールドワイド。英語が話せることも大きいですが、英語が話せることに甘えず、できるだけ現地の言葉でコミュニケーションを試みます。実際、スペインの英語普及率は高くない(といっても日本とは雲泥の差ですが)ですしね。私が躊躇してしまうところを、自然に飛び越えてしまえるのは本当に素敵なことだなあとつくづく思いました。旅というのは自分の枠を少しずつ広げていく作業なのかもしれません。もちろん、警戒心がないのとは違いますよ。
話が横道にそれましたが、そういうわけでチキートに止まっていた学生くん達とトマト投げに行くことを話していたんですよ。そしたらその中の1人がきょとんとした顔で呟きました。
「え?トマト投げって明日じゃないですか?祭りに行くって言ってた僕の友達はもうバレンシアに出発しましたよ?」
この時期に旅行を敢行した意味が全くなくなる恐ろしい発言に戦慄する私達。いい大人2人の挙動不審なまでの動揺ぶりを目にして、「でも僕の勘違いかも」と慌てる彼。しかし一度湧いた疑惑は消すことができません。27日のはず……でももし26日だったら。あれだけ自慢しておいて「日にち間違えて参加できなかったヨ!」なんて友人や仕事仲間に言おうものなら、少なくとも1年は引っ張るネタにされてしまいます。
その場にいた数人との話し合いの末、もし明日であっても、始発の電車でバレンシアに向かい、その足でブニョールへ行けば祭りの開始時刻・正午までにはなんとか間に合うだろうという結論に。とっくに奥で休んでいたオーナーの奥さんを申し訳なくも呼び出し、チェックアウトをすませ(ここで前編で言っていた奥さんの心底嫌な顔を拝見することに)慌てて荷物をまとめて就寝。※奥さんも正確な日にちを知りませんでした。
![]() 世界の車窓から〜本日の旅はエウロメッドのご来光に目をしょぼつかせることから〜 |
そして翌日。夜明け前の早朝、高速列車エウロメッドでバレンシアへ。ビルなどの建物がまばらになり、果樹園や畑が広がりはじめた頃、朝日が登りました。美しかったのですが、眠たいのと心配なのとで美を味わう余裕はありませんでした。 電車でゆられること約3時間、バレンシア駅に到着。 トマト投げ祭りは内容が内容だけに批判的な人々も多いようで、特にお上あたりは情熱の国のくせに非常に冷ややかな視線を送っている節が。(1951年には一時禁止され、参加者に罰金や収監が課せられたことも)国外であれほど知名度があるにも関わらず、スペイン政府観光局からはまるっきり無視されていたりして微笑みがこぼれます。(追記/現在はイベント情報に紹介されているようです) |
まあ、確かに牛追い祭りならいざ知らずトマトで死人が出るのはどうなのよとは思いますが。
そのせいかは定かでないですが、Nちゃんが日程を確認しても「知らない」と答えるホームの駅員たち。ブニョールは小さな町ですので、交通手段といえばバレンシア駅から電車で行くしかない。なのにその駅員が知らないというのは、かなり妙な印象を受けました。その辺りは自国の人しか分からない感覚かもしれません。
![]() バレンシア・ノルテ駅。ここから歩いていける範囲にカテドラルやミゲレテの塔などがある |
駅構内の旅行会社で、祭りが27日だと確認しホッと一息。今度は宿探しです。しかしこの時期、バレンシアにはヨーロッパ諸国を始めいろんな国からトマトを投げにはるばるやってきたアホな観光客(私を筆頭に)が集まるため、駅周辺の宿はほぼ満室状態。駅で偶然出会った日本人Aくん(Nちゃんのトルコ・イスタンブール沈没時代の知人)の知り合いも、何十件と電話をかけているのに空きが見つからないとか。うへえと思いながらも、「とりあえずあたって砕けろだよ!」というNちゃんの素敵なポジティブ・シンキングに便乗して「なんとかなるさ、きっと」と根拠もなく愉快な気持ちに。 |
こういう思考で生きていると、着実性皆無の大人になるのでよい子のみんなは真似しないようにネ!一度痛い目にあって「人生ケセラ・セラ☆」とかほざけなくなった方が私にも周りの人にもいいのですが今回もなんとかなってしまったので無理でした。
なんと1件目に尋ねた駅の真ん前のプチホテルが1部屋空いてたんですよ!しかも小綺麗。ラッキーにも程があります。しかしNちゃんがいなかったらこの幸運はなかったでしょう。できれば予約をしておくのが賢明だと思います。
26日はバレンシアを一通り観光し、いよいよ祭り当日!ノーメイク&おしゃれ心などみじんも感じさせない服装(捨てる気満々)というやる気のないいでたちで、やる気満々に駅へ乗り込む私達。手に持っているのは、水中用使い捨てカメラと水中メガネのみ。お金は必要最低限をポケットに入れているだけです。※ブニョールには宿泊施設はおろか荷物を預けられるような場所もないに等しいのです
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駅の構内には、すでにたくさんの人々がたむろっていました。彼らがトマティーナ参加者であることは、その一様にやる気のない格好を見れば一目瞭然です。中には上下真っ白に揃えた、トマトで赤く染めてやるぜイエーイな人々や、Tシャツに自分で的を描き「ターゲットは俺さ!!」「私に当てて!!」とデカデカと書き殴ってる人々など、どの国の人もいい感じのウカレ具合を披露。「しまった、白装束にすればよかったね!」と悔しがる私達。小心者のくせに目立ちがり屋なのは私のダメ性分です。 |
![]() 見にくいですが、構内にたくさんの人が座っている図です |
たむろする人々の中にチキートで話した学生くん2名を発見。再会を喜んでるうちに、ブニョール行きの列車が到着しました。途端に大移動を始めるトマティーナ民族。やる気ない外見とは裏腹に瞳はらんらんと輝いています。
その波に乗って、私達も列車の方へ。すると見知らぬおっちゃんに声をかけられました、日本語で。驚いて振り向くと、そのおっちゃんの後ろでカメラを回している人がいるではありませんか!
その方々はBS-NHKのスタッフさん。なんでもスペインの祭りの取材撮影をしているらしい。トマト投げに参加する数少ない日本人ということで、私達に出演してもらえないかとの依頼を聞くやいなや、
「トマト投げ祭りに参加するために3年間OLやってました!!長年の夢が叶いました!!」
といきなり流暢な嘘をつくNちゃん。
いや、3年間OLやってたのは嘘じゃないですが、それがトマト投げのためだったとはこのとき初めて知りました。びっくりだよ、Nちゃん。
トマト投げ終了後にもう一度撮影するという約束をして(使用前・使用後を撮りたいらしい)NHKさんと分かれ、列車に乗り込みます。
列車の中はヨーロピアンを中心に、アメリカン、オージー、コリアン、ジャパニーズと人種のるつぼ。列車に乗り込んだことでさらにボルテージが上がり、ウカレ具合はヒートアップ。やはりヨーロピアンが絶対的に多いので、サッカーの応援ソングで盛り上がります。サングリア(フルーツ漬けワイン)を回し飲みして(私も頂きましたよ、ええ)ほろ酔い加減になったり、網棚に登りだすウカレ度MAXな輩も出現。最初のうちはみんなに写真を撮られたりと注目を浴びていたものの、しばらくたつと見向きもされなくなり、降りるに降りられずさみしそうな瞳をして揺られていたのがドナドナっぽくて笑えました(さ〜みしそ〜な瞳で見ているよ〜♪)。
トマトを投げ合いたいと願うおバカ共をギチギチに乗せてひた進むトマトを投げたい欲望という名の電車。ビビアン・リーのような悲壮さは皆無ですが、狂気では負けてません(違う意味で)。
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バレンシアを発って約40分後、ようやくブニョールに到着しました! |
……うん、見事なまでに何もないね!私の実家といい勝負の田舎町です。
普段は静かな場所なのでしょうが、この日ばかりは文字通りお祭り騒ぎ。人口1万人足らずの町に世界各国から約3万人の阿呆が押しかけるといえば、その狂乱ぶりを理解して頂けるでしょうか。
駅前では水中用使い捨てカメラや水中メガネ、トマティーナのオリジナルTシャツ(約700円)もビール&軽食を販売する屋台が並んでいます。せっかくなので、オリジナルTシャツを2枚購入。1枚はその場で着て、もう1枚は終了後の着替え用です。
駅からてくてく歩くこと約20分、午前10時30分をまわったところで祭り会場に到着。トマト投げは正午スタートなのですが、その前に前座のイベントが広場で開催されます。
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広場に近づいていくに連れ、濃度を増していくクレイジーな空気。この狂乱に巻き込まれたくない常識人たちが遠巻きに見守るなか、広場は狂乱に巻き込まれる気満々のクレイジーたちがてんこもり! 身動きもままならぬほどの異常な人込み、通常なら気が萎える状況ですが、人々の熱気は高まる一方。たとえるなら「ラッシュ時の満員電車の乗客全員がアドレナリン大噴出」という暑苦しいことこの上ない有り様。普段はおしとやかな私もいやがおうにも高揚してきます。 |
前座のイベントとは、簡単にいえば登り棒競争。頂点には戦利品である生ハム(を入れた袋)が括りつけられています。非常にシンプルですが、棒には石鹸が塗られていてめちゃくちゃ滑りやすい。滑り落ちたり、別の挑戦者に引っ張られたり、踏み台にされたりして脱落していくチャレンジャーたち。蜘蛛の糸に群がった悪人たちはきっとこんな感じだったと思います。
そして、普段善良な私もうっかり悪人の仲間入り。
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ただでさえ少ない女性の挑戦者、しかも少数派の日本人。 周りにいた日本人はもちろん、ヨーロピアンな人達も「いっけー!ジャパニーズガール!!」(下線部分重要)と押し上げてくれました。が、見ているよりずっと登りにくい!滑るし足場は集まってる人の頭というすごい状況なので、運動不足も手伝って敢えなく脱落。Nちゃんはかなり長い時間登っていたので、めちゃくちゃ目立ってました。あの子にはかなわない……N……恐ろしい子…!(白目の亜弓さん@ガラスの仮面) |
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頂点付近まで挑戦者が登りつめると歓声が沸き上がり、落ちると悲鳴、そしてまた登っていく新たな挑戦者にむけて歓声。これを繰り返すごとに、町の体感温度は上昇していきます。
冷静に考えるとそこまで面白い競技でもないんですが、らっきょが転がっても笑えた16歳の松本伊代に匹敵する熱狂状態でそんな野暮は言いっこなし。尋常でない熱気というのは、人の感覚を狂わせるものなのだとつくづく思います。
すったもんだの末、ようやく勝者決定。ひときわ大きくなる歓声と拍手の渦。まるで英雄のような讃えられ方と、棒登りに勝っただけという質素な功績のアンバランスさが笑いを誘いますね!
「(手拍子:パン・パン・パパパン・パパパパン)ブニョール!(パン・パン・パパパン・パパパパン)ブニョール!!」
そして沸き上がるブニョールコール。私達は近くにいた日本人参加者たちと意気投合、「ハポン(日本)!ハポン!!」と叫んでおりました。
あまりに熱い前座イベントが終わり、のどの乾きを覚えた私達は、ビール売り場まで行くことにしました。そのことをのちにものすごく後悔すると知らずに……。
そう、私達はとんでもない出来事に遭遇してしまったのです。ハッキリいって、シャレになりません。本当は書かかずにおこうかと思ったのですが、これもこの奇祭の一部であり、ある側面の象徴的出来事でもあるので書くことにしました。それに、もし今後参加する予定の女性がいたら、知っておいて欲しいので。
登り棒競争が終了したのが(推定)11時20分頃。トマト投げ開始までの約40分間は、放水をするだけで特に何もありません。ただでさえ登り棒でテンションが上がりきっているのに、40分間も焦らされるわけです…この尋常でない熱気の中で。トマトが投げたくて投げたくて仕方ない人々にとっては、まさに「し、辛抱たまらん…!」という感じ。しかも前述した通り、サッカー観戦的な高揚を助長するムード(しかもサッカー大好きヨーロピアンが大多数)が満ちている。自分のTシャツを脱ぎ、振り回し、投げ合い始める男たちも増えていく。この状況下での40分は、理性の臨界を突破してしまう真の阿呆が出現するのに十分な時間です。
その頃私とNちゃん、そして学生くんは、飲み物を求めて満員電車の様相を呈す人込みを少しずつ移動しておりました。そして、運悪く出会ってしまったのですよ……真の阿呆どもに。
そいつらは見るからに頭弱そうなアドレナリン過剰分泌のきっと早漏な若者たち(心底ムカつくので言いたい放題)。フーリガンを彷佛とさせる言語道断な振る舞いをしています。
なんとこいつらは、近くにいる無関係な人達に見境なく襲いかかり、よってたかってTシャツを破いたり、持ち上げて放り投げたりしていたのです!
お客様のなかにお医者様はいませんかー!こいつらの脳内麻薬を残らず抽出してあげて!!
そして何も知らずその場に居合わせてしまった私達も、同様の被害にあいました。相手が女性であっても躊躇ゼロ。Tシャツを3〜4人がかりで破られ、大声で抵抗すると、さらに面白がる始末。
こっ…このチ●カス野郎ども…!!
こいつらは本当におバカなので、非力な女性から奪い取った下着(ブラ)を振り回したりと己の最低っぷりをあますことなく披露して、「こいつらより俺はいい男だ」と周囲の人々に自信を持たせたりしていました。中指を立てて怒っていた黒人の女の子や、泣き出してしまうコリアンの女の子もいたようです。
今だからこそ、女のTシャツ破きたいならお前らもズボンを破いてからにしろやフーリガンならぬフーリチンだガハハぐらい言えるのですが(相方「頼むから言うな」)、そのときはもう恐くて恐くて、睨みつけて逃げるだけで精一杯。本当にショックで、しばらく震えが止まりませんでした。あのときの私は、さぞかしいたいけだったことでしょう…そう、まるで追いつめられた白うさぎのように……(美化)。
誤解しないで頂きたいのですが、いくらクレイジーなお祭りだからってここまで頭の弱さをさらけ出すチ●カスくんはごくごく一部。実際、逃げてきた私を(言葉は通じないものの)心配していたわってくれたり、落ちていたTシャツを渡してくれたりと、狂乱の中でも人々は優しかったです。
Nちゃんや学生くん(この男の子はTシャツを破り捨てられた上、数人に抱えられて人込みに投げ飛ばされたらしい。かわいそうに…)ともここではぐれてしまい、ひとりぼっちになってしまった私。探しに行こうにも、人々の密度は増すばかり。「Nちゃ〜ん!!」と叫んでも返事があるはずもなく……。
噴水のような優しさは1ミリもない鋭角的な放水に加え、飛び交うTシャツは水をたっぷり含んでいるので本気で痛い。この待ち時間に、うんざりし始める人々も多かったことでしょう。
私もさっきのショックが尾をひいて、サッカーの応援リズムに乗せた「オ〜オオオオ〜」という歓声が般若心経に聞こえる程度にブルーになっていました。と、そのとき。
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ダレていた空気が一変、「うおおおおおおお!!!」という閧の声をあげて喜ぶ参加者たち。Nちゃんと再会することなく、始まっちまいましたよ!もうこうなったら、さっきのことは忘れて頑張るしかありません。 小さなブニョールの町を縦断するメインロードを、ゆっくりと近づいてくる5tトラック。もちろん、荷台にはトマトがてんこ盛りです。 |
かくして道路に流れ落ちる、完熟したものから明らかに採取が早すぎる青いものまで危険の度合いもそれぞれ違うトマトたち。そしてトマトの山に勢いよく群がった人々が手当りしだいに投げ始め、投げられた人はまたそれをどこかへ投げ返す。そしてまたその人が…………
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なんていうか…… |
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もう…… |
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どうにでもなれって感じです。 |
トマト投げが行われるメインロードは、5tトラックがいると他の車は通れなくなるような幅。想像していたよりもずっと狭いんです。なので例えるなら「ラッシュ時の満員電車でアドレナリン大噴出の乗客たちが無我夢中でトマトを投げあう」という正気を疑うような現実が目の前に。しかも飛び交うのはトマトだけではありません。固絞りしたTシャツや、誰かが履いていたであろうビーチサンダル等…。そのトマトではない何かが私の左頬にクリーンヒットしたときは、本気で星が舞いました。
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しかし、どうですかこの鬼気迫る 阿鼻叫喚の宴 の様子は。赤いものがトマトだと言わなければ、まさしく地獄絵図です。 ちなみに左の写真、かなり高い位置から撮っています。これはですね、背の高い外国人に囲まれて158cmの私がトラックの様子を撮ろうとピョコピョコ飛び跳ねていたとき、ポンポンと肩を叩かれまして。振り向くと、割腹のいいおっちゃんが、少し屈んだ姿勢で自分の肩を指さし、 「肩車してやるよ、日本の素敵なお嬢さん!」 めちゃくちゃ素敵な笑顔を浮かべていたのです。そのご好意に甘えて、肩車してもらって撮ったのがこの写真。あの大騒ぎの中で肩車してもらえるとは。嬉しかったなあ〜。 |
思ったより日本人観光客が多かったとはいえ、全体的に見ればかなり少ない東洋人。ということで、周りにいたヨーロピアンと思われるおじちゃんやお姉さん、お兄さん達に大変可愛がって頂きました。もちろん彼らはトマトを手にしています。でも写真を撮ってくれたりして、優しかったですよ。あのチ●カスくんたちとはえらい違いです。
原始的でシンプルな遊びに、国籍や文化や言葉の違いは重要ではありません。世界各国のいい大人がばか騒ぎして、同じ空間を共有し基本的なコミュニケーションができることが、批判を受けながらもラ・トマティーナが続けられてきた大きな理由のひとつなのでしょう。
そんなこんなで1時間後、人々がへばってきたところで終了の合図が鳴り響きました。
自分達のバカさ加減を褒めたたえるように快哉を叫び、沸き上がる拍手、この場を提供してくれた町への感謝の意を込めたブニョールコール。こうしてトマト投げ祭りは終わりを告げたのでした。
さて、1時間の狂乱のあとの町は………トマト臭っ!!
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正気に戻るとその異臭が鼻につきます。いたるところにトマトの水たまりができ、深いところだと膝に達するほど。トマト好きの私でもトラウマになりそうな光景です。 なのになぜ、人はトマトの海を歩いてみたい衝動にかられるのでしょうか。生温い&ぐにょぐにょした感触が大変気持ち悪かったです! 汚れたトマトの海にダイビングする勇敢なおバカたちも大勢いました。あれでうっかり飲んじゃったりしたら、本気でトラウマになるだろうなあと身震いしていたら、再会したNちゃんがとっくにトラウマになっていました。 |
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なんでも私を探そうと柱に登っていたところでトマト投げが始まり、恰好の的にされながらも柱を盾にして避けていたとか。そのせいであまりTシャツ(Nも破られましたが、替えのTシャツを持っていたので着替えた)が汚れなかったらしい。そして終了後、NちゃんのきれいなTシャツを見たヨーロピアンな若者たちが「それじゃダメだぜベイビー」とからんできてトマトの海にダイブさせられるハメに。そこで思いっきり飲んじゃったそうです。
N「こうなんていうか、生温かくてものすごく臭いトマト汁がさあ、口からドバァと入っやめてー!聞きたくないYO!!
気持ち悪そうなNちゃんの横で、もらいゲロの心理状態に陥る私。なのになぜ人は、あのソースでパスタ作ったらどうだろうとか無意味な想像をしてしまうんでしょうね。うえっぷ。
こんな有り様をどうやって綺麗にするのか、と思う方もいるでしょう。私も思いました。しかし、だてに半世紀以上も続いてきたわけではありません。後始末だってもうお手のものなのです。
終了して約10分後、いまだ熱気の残る会場に出動する消防用の放水車。トマトの残骸とともに、祭りの余韻も容赦なく洗い流していきます。ブニョールに住む人々も家庭用ホースやバケツを手に参戦!徹底したお掃除大作戦が遂行され、1時間後にはトマトの海がすっかり消え去ってしまいました。
今度は尋常じゃない量が流れ込む配水管が心配になりますが、大丈夫のようです。
トマトに汚れた参加者たちはというと、地元の方々にホースで水をかけてもらったり、勇気を出して放水車の前に飛び出したり、少し離れた場所にある野外シャワーに並んでトマトだらけの体を洗い流します。※この野外シャワーの様子が血まみれ亡者たちの行列っぽくてちょっと愉快。
スペイン・バレンシア地方は爽やかな地中海性気候。水を浴びてビショビショになっても、すぐ乾燥するので平気なのです。
とはいえ、短時間でこびりついたトマトが落とせるはずもなく、当然臭いもひどい。トマト臭の立ち篭める帰りの列車は行きとは違った意味で怪しさバリバリ伝説でした。
私とNはコンタクト使用者。トマト汁にやられてかゆみ・痛み・充血・目やにに悩まされました。(一緒にいた日本人の仲間もみんなそうなった)しかも私は目尻がかぶれてしまい、次の日には歌舞伎ロックスになっててビックリ。なにかがクリーンヒットした左頬も腫れてしまい、何だか正体不明の人になっている自分が嫌でした。
何やかんやとトラブルはあったものの、体験できてよかったです。あの狂った熱気は、なかなか味わえるものではないと思います。
さて、この体験記を締めくくる最後はやっぱりこれでしょう!
![]() 使用前 |
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どうですか皆さん、阿鼻叫喚の宴『ラ・トマティーナ』を体験してみませんか?
わずらわしい日常を忘れるにはもってこいのイベントです。ものすごく荒療治ですけどね!
1:会場であるブニョールには宿泊施設はないので、バレンシアの中心部で宿を予約しましょう。1ケ月前には予約が埋まり出すので、早めに動くのが賢明です。また個人旅行者で、航空券を自分でとる場合もできるだけ早めに動きましょう(私が動いたのは1ケ月前だったんですが、それでもえらい乗り換えをするハメに…)
2:当日は捨ててもいい服を来て、できるだけ持ち物ナシで。カメラは使い捨ての水中カメラにしましょう。学生くんの1人が防水のデジカメを持ってたんですが、見事に壊れました。使い捨て水中カメラは現地でも売ってます(それほど高くない)。あと、オリジナルTシャツは屋台によってデザインが違うので、いろいろ見て選ぶとよいかも。
3:必需品といわれていた水中メガネですが、あんまり役にたちません。トマトで汚れる&曇るで前が見えず、結局はずしている人が多かったです。ただ、コンタクトの人はホントに目が痛くなるので、曇り対策を万全にして水中メガネをしてもいいかも。でも多分はずすことになると思う…。
4:登り棒競争が終わってから祭り開始までは安全だと思われる場所を動かないようにしましょう。特に女性。やむ終えず移動する場合は、周りをよく見て慎重に!
5:祭りには日本からはもちろん、世界各地からTV中継班が来ています。目立ちたがりの人は衣装に凝るとよいでしょう。でも日本人ってだけで結構インタビューされますよ。あ、そうそう、カメラマンにトマトを投げるのはかわいそうなのでやめてあげようね!(本気で泣きそうになってた)
6:場所によっては人が少なかったり、トマトが届かなかったりと醍醐味を味わえぬまま終了してしまうことも。熱狂したい!という人は、最初から広場周辺にいるのがおすすめです。
7:次の日、バレンシアでトマト投げの号外が配付されます。興味がある人はゲットしましょう。(私は駅前でもらいました)